池田裕美子の星空スケッチ
今週は、グローバルネイチャークラブ、柳場潔さんのお話です。
秋の夜空は静かで落ち着いています。
伊豆大島に星空ツアーに来る人に
星々の神話を話しながら案内するそうです。
写真：星空ツアー
「神話と秋の星座たち」
エチオピア王家の神話に出てくるキャストが勢揃いする秋の星座のお話です。
ケフェウス王（ケフェウス座）、カシオペア王妃（カシオペア）
娘のアンドロメダ姫（アンドロメダ銀河）
白馬の王子ペルセウス （ペルセウス座）、おばけクジラ（クジラ座）
【神話】
エチオピアを統一するケフェウス王とカシオペア王妃の間には
アンドロメダという美しい姫がいました。
カシオペア王妃は自分の娘が美しいと自慢し
海の神ポセイドンの孫よりも美しいと話したことが
ポセイドンの耳に入り怒りをかいます。
ポセイドンはおばけクジラを呼び寄せ
エチオピアに津波を起こしたり、漁ができなくなるように意地悪をしました。
エチオピアの人々は困り果て、王に「どうにかしてください」と頼みます。
ケフェウス王は占い師を呼びつけ、助けを請います。
「カシオペア王妃がポセイドンの孫娘よりアンドロメダが美しいと
言ったことが原因である。エチオピアを救うにはアンドロメダ姫を生贄にしなさい」と
お告げを言い渡します。
生贄になったアンドロメダ姫がおばけクジラに襲われそうになっているとき
エチオピアの上空を怪物退治を終えたばかりの
白馬にまたがった王子ペルセウスが通りました。
美しい女性が生贄になっていると知ると
「結婚してくれたら助けてやる」とケフェウス王に条件を言い渡します。
アンドロメダ姫には婚約者もいましたが、臆病者で岩場の影から出てきませんでした。
ケフェウス王は仕方なく条件をのみました。
ペルセウスは手に持っていた怪物（メデューサ）をお化けクジラに見せると
おばけクジラは石になり、無事アンドロメダ姫を救出します。
その後も婚約者の反抗などありましたが、すかさずメデューサの首を見せて、婚約者も石になり
ペルセウスとアンドロメダは約束通り結婚しました。
ん？ちょっと待てよ？
写真：パオロ・ヴェロネーゼ 〈アンドロメダを救うペルセウス〉レンヌ美術館
写真：メデューサの首を持って戦うペルセウス
柳場さんは神話は神々しく、尊敬できるような「神の話」ではなく
とても人間臭い話が多いといいます。
白馬にまたがって颯爽とやってきたペルセウス……。なのになぜ？
白馬に乗った王子様って、一般的にはイケメンで強くて、優しくて、カッコイイ、
正義の味方のイメージなのですが
何かを条件付けて婚約者を殺してでも姫を手に入れようとするなんて(*_*)
神話には
人間の欲がいろんなところに見えるそうです。
もしかしたら、アンドロメダ姫はペルセウスと結婚したくなかったんじゃないのか？
岩場の影に隠れて助けられなかった婚約者も婚約者だけど。
それでもペルセウスに立ち向かった婚約者を石にされてしまった姫の気持ちは？
白馬に乗った王子がそんな条件をつけるなんて(TдT)
とは言え、命は助かったわけだし……。
もしも、姫が美しくなかったら……。
ペルセウスは上空を素通りしてたかもしれませんね。
それが人間臭さというものでしょうか？
幸せになったんですか？
柳場さんに聞いた所
わかりません
という答えでした。
語り継がれる神話には、残酷で、悲しいお話が多いということ。
今後もいろんな神話を聞いてみたいです。
でも、ハッピーエンドがいいなあ。
そんなことを思いながら秋の夜空を楽しんでみるのもいいですね。
その秋の夜空
ケフェウス座の近くに赤く光る星が……。
ガーネットスターです。
太陽の1500倍ほどの大きさを持つ巨大な星です。
蠍座のアンタレスでさえ太陽の700倍なので
かなりの大きさであることがわかります。
距離は3500光年（今、地球で見える光は3500年前の光。不思議な感じですね）
写真：ガーネットスター
柳場さんは
夜8時台ですと、まだまだ夏の星座も見えています。
秋の夜空は双眼鏡で見るとよく見えます。
夜遅くには冬の星座が顔を出します。
一晩中星たちの煌めきが楽しめるシーズンですので
一歩外へ出て見上げてみてください。
と、話してくださいました。
写真：グローバルネイチャークラブ柳場さんより星空案内
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